水のなかの色

あいまいなものについて、考えごと。

ここにいるのは何のため

どうして私は今ここにいるんだろう、と会社にいるときよく思います。私はどうしてここにいて、どうしてこの作業をしていて、どうしてこの人たちとしゃべっているのか、みたいなことが1日に何度も頭に浮かびます。数か月前に大学生から会社員になったばかりなので、会社での生活がなじんでいなくてそう感じるのかも思いました。だけど、思えば中学生になったときも高校生になったときも大学生になったときも自分がここにいることが不思議だという感覚はあったものの、こんなに強くはなかったしこんなにずっとでもありませんでした。これは私にとってけっこうな問題なんじゃないかと思います。

大学生のころ、自分が将来はたらいているイメージがもてませんでした。アルバイトがどれも長続きしなかったからです。失敗をしすぎるせいで、もう来なくていいといつも言われるのです。レストランも塾講師もコンビニもうまくいきませんでした。シフトの時間をまちがえたりレジをまちがえたり器をたくさん割ってしまったり。それに私は立ちっぱなしでじっとしているのが苦手だったり、わからないことをさもわかっているかのようにふるまうのが性にあわなかったりしたので、実のところ、来なくていいと言われる前からやめたいと思っていたものもいくつかありました。だから仕事で自分にむいているものはなくて、どれもすぐにクビになるかきつくてやめてしまうかのどっちかだろうと考えていました。

そんなわけで私の会社を選ぶ基準は、続けるのが無理にならないことでした。土日が休みで、夕方には帰れて、1階だての小さい建物で、怒鳴るような怖い人がいなくて、ゆっくりした雰囲気のところ。そんなところはなかなかみつからなくてようやくみつけた会社です。おかげでとてもすごしやすく、通うのが苦になりません。仕事もまだそんなに任されていないのでゆっくりやっても大丈夫です。失敗はときどきするけれどとりあえずは毎日楽しくすごせています。それで何も問題はないはずで、ここにいることに疑問をもつ必要なんてないはずなのにな。

たぶん、仕事が多くて忙しくてつらいとかはまったくなくて、むしろ何かが少ないんです。何かが足りないという感覚があります。足りないのはおそらく、何のためにここにいるのかとか何のためにこれをやっているのかという、いわゆる目的です。はたらく目的がわからなくてむなしいなんて、大人の悩みとしてすごくよくありそうです。自分のことを大人だとすら思えていないのに私はもうすでに会社員で、会社員のありふれた悩みみたいなものを知らず知らずのうちにもっていたなんて不思議です。

とはいえ、けっきょく私は何のために会社にいて何のために仕事をしているのでしょうか。私は何を目的にしたいのでしょうか。会社に行く時間になってしまうので続きはまた別の日に。