水のなかの色

あいまいなものについて、考えごと。

ささやかな好きなこと

好きなことについて書きます。

「マンガが好き」とか「アニメが好き」とか自己紹介でいえるような趣味はないけれど、いくつかの好きなものが私にはあります。

好きなもののひとつめはやっぱり考えごとです。テーマはいろいろあるけど自分や他人の感覚や記憶や意識のこととか。思索というにはまとまりがなさすぎて空想まじりなので「考えごと」とよぶほうがしっくりきます。私は大学を卒業したにもかかわらず自分の専攻が何なのかわからないくらいで、考えごとを学問に昇華させることはとてもできそうにないけれど、それでも好きです。内容というよりは考えごとをして時間を忘れる感覚自体が好き。私は私以外に「考えごとが好き」という人に会ったことがないのですが、実は好きという人は多いんじゃないかと思っています(ほかの人はほかのよび方をしてるのかもしれない)。

本を読んだり文章を書いたりするのも好きです。子どものころはよく本を読んでいたと思いますが、最近はそれほど多くは読んでいないような気がします。話題の小説のほとんどは読んだことがないし、特定の好きな分野があるわけでもなく、読んだ本の内容をしっかり覚えているわけでもありません。本好きな人の話を聞くのは好きだけど、自分が読んだ本の話はあまりできません。でも読むという行為自体が好き。書くのも、人に見せる文章はあまり書けないけど書くこと自体が好きなので、自分しか読まないノートにいろいろ書くのです。

それから透明でキラキラしたものが好きです。ガラスの器やビー玉も好きだし、水の流れだとか、スプーンにすくったゼリーやナタデココに光が透ける様子だとかはずっと見ていられます。でもそれを写真に撮ったり絵に描いたりはしなくて、ただ眺めて満足してしまいます。

どれもこれも、私がそれを好きなことがほかの人には伝わりにくいでしょう。同じものが好きな人と語り合うということもあまりありません。だけどいうまでもなく、私の好きなことはどれも私にとってとても大切です。

好きなことはたいてい、長い間ずっと好きでいます。昔の自分が自分だと思えないことがよくあって、そのたびに好きなことをやってみて、そうするといつも今の自分は昔の自分が好きだったことが変わらず好きなので、自分が自分であることに納得できるのです。最近は会社員になった自分が大学に通っていたころの自分と同じものと思えなくてずっと不思議な気分なのですが、やっぱり私は考えごとと読むことと書くことと透明が好きなままなのでそれで少し安心できます。

私の好きなことを私はずっと覚えていたいです。忘れたくないから書き残したいです。趣味というにはささやかで自己完結的な私の好きなことをささやかなまま確かなものにするために、それもこの場所に書いてみようかな、と思います。